いだいら観音の里の「冬のプレリュード」
道を行き交う人は、冷たい北風を凌ぐように体を丸くして「寒くなってきたね!」と朝晩の挨拶に言葉を添えるようになってきました。「そんな夜の楽しみは、夜空を飾る星の輝きです。空気が乾燥するようになると、舞い落ちる光の渦の様になり少し手を伸ばすと、届くのではと錯覚さえ致します。
蛍の清水通りでは、北風により竹が大きくしなり、時折、山鳥の寒さを凌(しの)ぐ塒(ねぐら)からの囀(さえず)る声を掻き消すように、木の葉のざわめきだけが聞こえてまいります。
桜の葉や鮮やかな黄色を魅せておりました銀杏(いちょう)の葉も、既にその葉を落とし、ひっそりと冬への備えを整え、あたり一面が灰色の静寂な世界へと向かおうとしている中で、微かに音を立て流れる清水の畔に生えるアザミは、冬の寒さにも立ち向かう強い精気を放っております。
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