いだいら観音の里仏坂の谷を渡る鶯(うぐいす)を聞きながら登って行きますと山の峰よりやや下の辺りに、飾り気のない御堂が、見えてまいります。夏でも澄んで冷やかな空気の中、お参りを済ませ、格子戸の格子の隙間から中を覗きますと中に行基(ぎょうき)が造ったとされる十一面観音が居られます。行基(ぎょうき)は、飛鳥~奈良時代の人で、橋を掛けたり、道路を造ったり、寺を建てたり、仏像を建立したり、薬草や水田の知識を広めたりと、己の利益を求めず、人々の為に多方面しかも広範囲に活動された人であると伝えられております。